【細辛(さいしん)】漢方薬に含まれる生薬の効能【生薬解説】

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【細辛(さいしん)】漢方薬に含まれる生薬の効能【生薬解説】

ポイント

辛性で走性が強く、去風し散寒止痛し水飲を去る。乾姜よりも止痛作用に優れる。
宿飲・停水を主治する。

宿飲・・・普段から溜まっている病気の原因になる水。
停水・・・流れないで溜まっている水。

注意点

“辛は銭(3g)を過ぎず”といわれ、多量には使用しない。辛性で走性が強く、気や陰液を消耗しやすい。気血両虚・陰虚には禁忌。

細辛の漢方的効能

  • 去風・散寒止痛:風寒を温め止痛する。温性アドレナリンβ様作用(糖・脂質代謝促進の結果、熱産生が増加し身体を温める)に基づく。精油には局所麻酔作用があり、寒冷刺激による比較的表在性の痛みを治す。例えば頭痛、舌痛、神経痛、歯痛、咽頭痛、関節痛などに。また寒冷と湿気による筋肉の疼痛、痙れん、麻痺にも適用。
    ①風寒頭痛に。(川芎茶調散)②風寒湿痺に。(独活寄生湯)③手足の冷えを温め、冷え性を治す。四肢冷感、下腹痛に。(当帰四逆湯)(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)④弱い発汗解熱作用。陽虚の体質の外感病(少陰病)に用いる。風寒による比較的表在性の寒を温める(抗アレルギー作用)。くしゃみ、鼻水、咽痛等で始まるカゼ(上気道炎:寒証型)やアレルギー性鼻炎に用いる。悪寒、咳嗽、鼻水など。(麻黄附子細辛湯、真武湯加減)
  • 温肺化飲(鎮咳・去痰作用):肺中の寒飲を温めて去る。乾姜と同様だが、薬力はより優れる。よく同時に配合される。肺が冷えて痰が多く(大量の希薄な痰)、咳が出るものを治す。細辛は温める作用と利水作用があり、寒湿痰を治す。くしゃみ、水様性鼻漏、多量の泡沫状痰を伴う寒証の咳嗽に適用。(小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯)空咳や炎症性で粘稠な痰を少量喀出するときは、熱証の咳嗽であるから注意。
  • 通鼻作用:鼻腔に入り、温めて湿邪を除き鼻腔を通じさせる。
  • 風火歯痛:清熱瀉火薬を配合し熱証の口内炎・歯痛・舌炎に使用する。①歯痛に石膏・黄芩など。②舌炎や口内炎には黄連末とともに塗布する。③咽頭痛・嗄声などの浮熱を散じる作用もある。
分類 広範囲使用薬・温裏薬
基源 ウマノスズクサ科ウスバサイシンの全草、または根および根茎
薬性 温性
用法 1〜3g
注意点 “辛は銭(3g)を過ぎず”といわれ、多量には使用しない。辛性で走性が強く、気や陰液を消耗しやすい。気血両虚・陰虚には禁忌。

細辛が含まれる漢方処方薬

川芎茶調散、独活寄生湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、麻黄附子細辛湯、小青竜湯、苓甘姜味辛夏仁湯など。

引用参考文献

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