更年期障害のホットフラッシュに効果的!薬剤師がおすすめする漢方4選

更年期障害のホットフラッシュに効果的!薬剤師がおすすめする漢方4選

閉経後から汗が出たり、頭がのぼせてキツいです…。

このようなお悩みを解決します。

更年期障害のホットフラッシュは、多くの女性が経験する辛い症状です。

突然の汗が出てきたり、ほてりや動悸などがあらわれます。 更年期障害は閉経の前後10年程の間に見られますが、発症のタイミングや重症度は個人差が大きくキツいです。

そんな更年期障害(ホットフラッシュ)の緩和に効果的として、漢方薬が注目されています。この記事では、現役の薬剤師の視点で、おすすめな漢方薬を4つ紹介します。

記事を読めば、症状緩和が期待できるので、ぜひ参考にしてください。

これまで多くの患者様にご案内している実績があるので、ご安心ください!

結論:ホットフラッシュにおすすめな漢方
  • 加味逍遙散 《女科撮要附方並註》 
  • 温経湯 《金匱要略/婦人雑病篇》
  • 柴胡桂枝乾姜湯 《傷寒論・金匱要略》
  • 桂枝湯 《傷寒論・金匱要略》
目次

更年期障害とホットフラッシュとは?

更年期障害(ホットフラッシュ)の原因

【前提】更年期障害(こうねんきしょうがい)とは?

更年期障害とは、女性が生理的に閉経を迎える過程で、卵巣機能が徐々に低下していく期間を指します。40歳から60歳の間に発症する女性が多いです。

更年期にとっての月経とは?

月経は子宮内膜が剥がれ落ちるまでの過程です。おおまかな流れは下記のとおりです。

30歳前後

ピークを迎えて、その後は減退していく

42歳以上

妊娠できる可能性が下がる

50歳前後

閉経を迎え、「更年期」と呼ばれる

月経という出産のメカニズムは女性にとって必要不可欠な生命活動であると同時に、人体にとって大きな負担になっています。更年期とは、”その状態にそろそろブレーキをかけて緩めましょう” という時期ともいえます。

おもな症状として、ホットフラッシュやイライラ、うつ病や睡眠障害などが挙げられます。

女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量が減少するため、身体的にも精神的にも、さまざまな変化や症状が現れることが特徴です。

効果的な治療方法は、ホルモン補充療法や漢方薬です。また、ストレスを避けることや、バランスの良い食事や運動なども症状の緩和に役立ちます。

更年期障害(ホットフラッシュ)の症状

ホットフラッシュ(ほてり)は、更年期障害の代表的な症状の1つで、女性が閉経に向かう過程で特に多く見られます。おもな症状は下記の5つです。

突然の発汗

体温が急激に上昇して、突然大量の汗が出ます。

ほてりと赤面

発汗とともに、顔や首に赤みが広がります。

脈拍の増加

ホットフラッシュの発作中に心拍数が上昇します。

不快感

突然の体温変化や発汗による、不快感や不安感を伴います。

夜間の発作

夜中にホットフラッシュが起こると、眠りの質を低下させます。

発症のタイミングや重症度には個人差があります。かなり辛い症状の女性もいるので、軽く考えるのはNGです。

更年期障害(ホットフラッシュ)の原因

ホットフラッシュの具体的な原因は完全には解明されていませんが、更年期におけるホルモンバランスの変化が主な要因と考えられています。

更年期になると、卵巣の機能が低下し、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌量が減少します。脳の体温調節中枢が影響を受け、体温の調節が乱れ、ホットフラッシュが起こるとされています。

更年期障害の症状は体質や生活環境によっても異なるため、個々の状況に合わせた対処法を見つけることが重要です。適切な治療法を見つけるために、専門家と相談してみてください。

漢方医学的な視点で考える更年期障害

更年期障害(ホットフラッシュ)と漢方治療

私たちは、陰血の不足により発生する「熱」が更年期障害の原因でないかと考えております。

古典にみる女性の身体の生理過程

黄帝内経素問上巻・上古天真論

[訓読]女子は七歳にして腎気盛し、歯更り(かわ)り髪長ず。二十七にして天癸(てんき:腎精の充実とともに成熟する生殖機能の基本物質または月経のこと)至り、任脈通じ、太衝の脈盛し、月事時を以て下る。故に子あり。三七にして腎気平均す。故に真牙(しんが:おやしらずの歯)生じて長極まる。四七にして筋骨堅く、髪の長極まり、身体盛壮なり。五七にして陽明の脈衰え、面初めて焦(やつ)れ、髪初めて白し。七七にして任脈虚し、太衝の任脈虚し、太衝の脈衰少し、天癸竭き、地道通ぜず。故に形ついえて子なきなり。

[現代語訳]女子は七歳になると、腎気が充たされだし、歯が抜けかわり、毛髪もまた長くなってきます。十四歳になると、天癸が発育・成熟し、任脈はのびやかに通じ、太衝の脈は旺盛になって、月経が時に応じてめぐってきます。だから子供を産むことができます。二十一歳になると、腎気が充満し、智歯が成長して、身体の丈もまたのびきります。二十八歳になると、筋骨はしっかりして、毛髪ののびも極まります。この時期は身体が最も強壮である時期です。三十五歳になると、陽明経の脈が次第に衰え、顔面部はやつれはじめ、頭髪も抜け始めます。四十二歳になると、三つの陽脈は全て衰えてしまいます。それゆえ顔面部はまったくやつれ、頭髪も白くなりはじめます、四十九歳になると、任脈は空虚となり、太衝の脈は衰え、天癸は竭きて、月経は停止します。それゆえ身体は追い衰えて、もう再び子を産むことはできません。

陰血の不足による「熱」は、中国の伝統的な医学である漢方医学の観点から考えられる病態の1つです。漢方医学では、体内のバランスが崩れることで「陰」と「陽」という相反する力の不均衡が生じ、それによってさまざまな症状が発生すると考えられています。

  • 「陰」とは、体内の水分や栄養物を代表する冷却・潤滑・補充の力
  • 「陽」とは、体内の熱やエネルギーを代表する温め・動かす・発散の力

「陰」と「陽」は相互に補完し合ってバランスを保ち、健康を維持します。

更年期になると月経が停止し、血が身体に残ります。温かい血は古くなると熱を帯びてきます。

この状態が続くと、五心煩熱(顔がのぼせる、手足が火照る、寝汗が多い)や「渇き」が現れます。これが陰血の不足によって発生する「熱」であり、更年期障害(ホットフラッシュ)の正体です。

陰血(ラジエーター)が不足してオーバーヒートしているような状態です。また、冷えたり火照ったりと寒熱の所見が同時に散見されます。

訴える症状

ほてり・のぼせ・発汗・イライラ・不安感・不眠・憂鬱感・動悸・胸痛・肩凝り・腰痛・手足のしびれ・むくみ・立ち眩み・不正出血など

このような症状への治療として、漢方薬が注目されています。

自宅でできるホットフラッシュの3つの改善方法

自宅でできるホットフラッシュの3つの改善方法

ホットフラッシュ(ほてり)の改善方法は個人差がありますが、以下に一般的な対処法をいくつか挙げてみます。ただし、健康状態や体質によって効果が異なる場合もあるため、具体的な方法を試す前に医師や専門家に相談することをおすすめします。

漢方薬の利用

漢方薬は、ホットフラッシュなどの更年期障害の症状を緩和する効果が期待されます。

ただし、漢方薬は個々の症状に応じて処方されるため、専門家に相談して適切な薬を選ぶことが大切です。

生活習慣の改善

生活習慣が乱れていると、更年期障害の症状が重くなりやすいです。症状緩和のために、生活習慣の改善を心がけてください。

  • 良質な睡眠
  • 適度な運動
  • バランスの取れた食事

すぐに改善するのは難しくても、意識しながら、少しずつ改善していきましょう。

また、ストレス解消もホットフラッシュに効果的です。下記は自宅でできるので、おすすめです。

  • ストレッチ
  • 瞑想やヨガ
  • 趣味や娯楽

気分転換の時間をつくって、ストレス解消に努めてみてください。

温度の管理

室温や湿度を調整することでホットフラッシュの発作を和らげることができます。

特に寝室の温度を快適に保つことが効果的です。寝る前に温度調整をしてください。

また、着る服を調整して体温の上昇を抑えることができます。吸湿性のある素材を選んだり、重ね着をしたりすると快適に過ごせます。

更年期障害(ホットフラッシュ)におすすめの治療方法

更年期障害(ホットフラッシュ)におすすめの治療方法

更年期障害(ホットフラッシュ)におすすめの治療方法として、西洋医学的治療「ホルモン補充療法(HRT)」と、漢方的な治療を紹介します。

西洋医学的治療「ホルモン補充療法(HRT)」

「ホルモン補充療法(HRT)」とは、閉経後の女性に卵巣ホルモン(エストロゲン)やプロゲステロンを補うことで、更年期障害の症状を緩和する治療法です。

ホルモン補充療法(HRT)の方法
  • 経口薬:エストロゲンとプロゲステロンを含む薬を口から摂取します。
  • 貼り薬:皮膚に貼るパッチ状の薬剤を使用します。
  • ゲル:皮膚に塗る薬剤を使用します。
  • 注射剤:筋肉や皮下注射によってホルモンを投与します。

HRTはホットフラッシュの改善に効果的ですが、副作用として、不正出血、乳房のはり・痛み、吐き気、頭痛があります。

個人差はありますが、医師とよく話し合って適切な治療方法を選択する必要があります。

ホルモン補充療法と乳がん発生の危険性との関連には諸説あり、結論が出ていません。現時点のガイドラインではホルモン補充療法の乳がん発生リスクへの影響は小さいと考えられています。
参考:公益社団法人 日本産科婦人科学会

漢方治療「旧血を和し、新血を産生する」

「旧血を和し、新血を産生する」という言葉は、漢方薬における治療理念やアプローチを表すものです。

漢方薬は、中国の伝統的な医学に基づいた自然療法であり、体内のバランスを整えることを重視しています。ホットフラッシュのような更年期障害の症状に対しても、「旧血を和し、新血を産生する」という考え方に基づいた漢方治療が行われることがあります。

漢方薬は体内に滞った古い(旧)エネルギーや不調和を調整し、新しい(新)エネルギーやバランスを促す働きを持っているとされています。

漢方薬によって「旧血を和し、新血を産生する」。新しいエネルギーを産生する助けになればホットフラッシュの治療効果も期待できます。

「当帰」

当帰は古来より婦人の聖薬といわれ、月経不順や生理痛に効果があり、妻の病気が治って「当に帰る」というところから名付けたといわれています。

芍薬や川芎と組んで、生理痛や月経異常を改善させます。また、更年期障害のホットフラッシュに対しても「熱」を制す牡丹皮や山梔子と組んでその効果を発揮します。

血に働きかける生薬で綺麗な新血(陰血)を作ることで、暴走する陽気(血熱)をコントロールしようというわけです。これが漢方治療の要になります。

更年期障害(ホットフラッシュ)におすすめな漢方4選

更年期障害(ホットフラッシュ)におすすめな漢方4選
ホットフラッシュにおすすめな漢方
  • 加味逍遙散 《女科撮要附方並註》 
  • 温経湯 《金匱要略/婦人雑病篇》
  • 柴胡桂枝乾姜湯 《傷寒論・金匱要略》
  • 桂枝湯 《傷寒論・金匱要略》

更年期障害(ホットフラッシュ)の改善に、漢方は効果的です。なかでもおすすめな漢方を4つ紹介します。

加味逍遙散 《女科撮要附方並註》 

女性の健康に関連する症状や問題に対して使われる処方のひとつです。漢方薬の中で女性特有の症状や更年期障害に対して広く用いられます。

「加味逍遙散」(かみしょうようさん)は、元々「逍遙散」(しょうようさん)という漢方薬の基本処方に、特定の生薬を追加・加味して作られたものです。

当帰・芍薬・白朮・茯苓・柴胡・牡丹皮・山梔子・甘草・生姜・薄荷

上記の生薬がバランスよく配合されており、女性の健康に寄与すると考えられています。

この方剤の原型である逍遙散は本来「血虚労倦・血熱相搏」という病態に使われています。

具体的には、「熱」を冷まし新血産生に働きかけることで、月経不順やホットフラッシュなどの更年期障害の症状の改善に役立つとされています。

温経湯 《金匱要略/婦人雑病篇》

「温経湯」(うんけいとう)は、漢方薬の一つで、中国の伝統的な医学で使われてきた処方です。この処方は、「金匱要略(きんきようりゃく)」という漢方の古典書籍の中の「婦人雑病篇」に含まれています。

「金匱要略」は、東晋時代の医学家である張仲景(ちょうちゅうけい)によって著された漢方の古典書籍であり、多くの漢方薬の処方が収められています。その中には、「温経湯」も含まれており、特に女性の健康に関連する症状に対して使用されることがあります。

半夏・麦門冬・当帰・川芎・芍薬・人参・桂皮・阿膠・牡丹皮・甘草・生姜・呉茱萸

この漢方薬の特徴として、麦門冬・人参・阿膠などの身体を潤す生薬が多く含まれており、加味逍遥散よりも「渇き」が明確な方に使用します。滋潤性の強い漢方薬で、更年期障害のホットフラッシュに使用頻度の高いお薬です。

柴胡桂枝乾姜湯 《傷寒論・金匱要略》

「柴胡桂枝乾姜湯」(さいこけいしかんきょうとう)は、中国の伝統的な漢方薬の1つで、「傷寒論(しょうかんろん)」という漢方の古典書籍に記載されています。

「柴胡桂枝乾姜湯」は、東晋時代の医学家である張仲景(ちょうちゅうけい)によって著された「傷寒論」という漢方の古典書籍に含まれている処方です。この書籍には風邪や急性疾患に対する治療法が詳細に記されており、「柴胡桂枝乾姜湯」もその中で特定の症状に対して使用される漢方薬として紹介されています。

柴胡・桂皮・栝楼根・黄芩・牡蛎・乾姜・甘草

水(ラジエーター)不足のため口が渇き、体内に熱があるため寝汗が多い。そんな方を目標として使用します。「体内深部の冷え」があり、かつ「熱」がある。そんな矛盾のある症状を改善する漢方薬です。

体の表面と深部のバランスを整えることによって、更年期障害の他にも風邪や急性疾患による症状を改善するとされています。特に、発汗や解熱作用を促すことで、発熱や頭痛、体のだるさなどの症状に対して効果が期待される漢方薬です。

桂枝湯 《傷寒論・金匱要略》

「桂枝湯」(けいしとう)は、中国の伝統的な漢方薬の1つで、古典的な漢方書籍「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている処方です。

「傷寒論」は、東晋時代の医学家である張仲景(ちょうちゅうけい)によって著された漢方の古典書籍であり、風邪や急性疾患に対する治療法が詳細に記されています。その中で、「桂枝湯」は特定の症状に対して使用される漢方薬として紹介されています。

桂皮・芍薬・大棗・生姜・甘草

衆方の祖(あらゆる処方の大元)とされる漢方薬で様々な処方の原型とされており、出典の金匱要略の婦人妊娠病、婦人産後病にも記載がある通り、実際に婦人病に有効であるケースが多い漢方薬です。

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この記事では、更年期障害(ホットフラッシュ)の原因とおすすめな漢方薬を4つ紹介しました。信憑性の高い情報とあわせて、おすすめな理由も掲載しましたが、あなたの症状や体調によって最適な漢方薬は異なります。

漢方薬は近年、ネットで簡単に手に入るようになりましたが、的確な処方をするためには専門的な知識、病態の見立てが必要です。

重要なのは、病態を東洋医学的にどう捉えるかです。

  1. 病因(なぜそうなったか)
  2. 病機(どこの機能が低下しているか)
  3. 治則(どうやって治せば良いか)
  4. 方剤(薬草をどのように使えば良いか)

私たち「漢方のハセガワ薬局」へご相談いただければ、あなたに最適な漢方薬をご提案いたします。症状にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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