【薬剤師が解説】副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の改善におすすめな漢方薬【荊防敗毒散】

このようなお悩みをお持ちの方に記事を書いています。

実際に副鼻腔炎の症状が改善した実例はこちら

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏とは？

副鼻腔は、鼻の奥からつながり、頬やおでこにかけて広がる空洞のことです。左右対称に上顎洞（じょうがくどう）、篩骨洞（しこつどう）、前頭洞（ぜんとうどう）、蝶形骨洞（ちょうけいこつどう）という4対の空洞があります。

このうちのどこかに炎症が起き、症状が3ヶ月以上経過したものが慢性副鼻腔炎であり、発症すると以下のような症状を伴うようになります。

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の症状

• 粘りのある黄色い鼻水や鼻づまり・頭痛や頭重感、倦怠感・後鼻漏（こうびろう：排出できない鼻水が喉に落ちて絡みつき、咳が出る）
• 嗅覚障害（食事の味やにおいが分からない）
• 口臭・鼻茸（はなたけ：鼻内部の粘膜の一部が突起状に膨らんだもの）

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の原因

副鼻腔炎と後鼻漏の原因はいくつかあります。

• 上気道感染症: 風邪やインフルエンザなどの上気道感染症が原因で、副鼻腔の粘膜が腫れたり炎症を起こしてしまうことがあります。
• アレルギー反応: 花粉やハウスダストなどのアレルゲンに過敏な人は、アレルギー性副鼻腔炎を発症することがあります。
• 鼻の形態的な問題: 鼻中隔偏曲やポリープなど、鼻の構造に問題があると、副鼻腔の通気が悪化し炎症を起こしやすくなります。
• 免疫力の低下: HIV/AIDSや免疫抑制剤の使用などにより、免疫力が低下すると、副鼻腔炎が発症しやすくなります。
• 環境因子: 乾燥した空気、大気中の汚染物質、タバコの煙など、環境因子も副鼻腔炎の原因となることがあります。

副鼻腔炎が慢性化すると、後鼻漏という症状が起こることがあります。副鼻腔の炎症により、副鼻腔から鼻の奥にある後鼻腔へと黄色い粘液が流れ込み、鼻垂れや喉の不快感、咳などの症状が現れます。

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の西洋医学的治療

副鼻腔炎や後鼻漏の治療には以下のような方法があります。

• 抗生物質の使用: 細菌感染が原因の場合、抗生物質を処方することがあります。ただし、抗生物質には耐性菌の問題もあるため、適切な使用が重要です。
• 鼻腔洗浄: 鼻腔洗浄は、鼻の中に入った細菌やアレルゲンを除去し、鼻腔の炎症を軽減する効果があります。一般的な方法には、塩水洗浄やネットポットを使用した洗浄があります。
• 炎症を抑える薬の使用: 炎症を軽減するために、抗ヒスタミン薬やステロイド薬などが処方されることがあります。これにより、鼻の通りや呼吸が改善されます。
• 手術: 効果的な薬物療法にもかかわらず、症状が慢性化している場合や、副鼻腔内に物質的な障害や形成異常がある場合には、手術が検討されることもあります。手術の具体的な方法や範囲は、症状の程度に応じて異なります。

以上の治療方法は一般的なものであり、医師の指示に基づいた適切な治療を受けることが重要です。また、予防策としては、充分な休息、バランスの取れた食事、適切な運動、手洗いなどを行うことが推奨されます。

漢方医学的な視点で考える副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の漢方治療

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の治療では、急性期・亜急性期・慢性期を区別します

• 急性期

「排膿」を基本に行います。（排膿散及湯）、症状の勢いが強いようなら「清熱」を同時に行います。（黄連解毒湯）

• 亜急性期

症状がある程度長引き、化膿性であれば「癰（よう）」の治療を基本に置きます。（托裏消毒飲・千金内托散）

• 慢性期

症状がある程度治まっている状態であれば「活血」や「補虚」を行います。（帰耆建中湯・補中益気湯）

また、副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の原因は『痰飲』にあると考えられます。

明の李中梓(1588-1655)という医師が医宗必読という書物に”脾は生痰の源　肺は貯痰の器”　という言葉を残しました。

ところが、この理論を根拠に二陳湯（半夏・生姜・陳皮・茯苓・朮…etc）などの方剤を使い後鼻漏の原因となる痰飲を排除しようと試みるも、効き目が思うようにでないのです。

私の恩師は、この考えから脱却しある仮設を立てて副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の治療を確立させました。

まず、押さえておかないといけない一番大切なところをお伝えします。

鼻の構造と鼻水生成理由を考えます

①鼻腔は外界と繋がっている

②鼻水が外に垂れてくるか咽の方に落ちてくるかは発症部位による

③その部位に何らかの病変があり修復するために鼻水が出ている

高血圧にはカラダが血圧を上げる理由がある

後鼻漏も粘液が漏出する理由があるわけです

引用元：漢方薬局＋C小岩井慎哉先生

皮膚病での治療を応用することにより、副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の改善を可能にしました。ヒトには身体を治す為の力がもともと備わっています。その力に正しく働きかけるというわけです。

鼻腔は外界と繋がっている（半表半裏の場所）→柴胡
後鼻漏による粘液漏出（外）→防風

傷寒論で考える、表裏内外。これらの考えを駆使し鼻粘膜の病巣に対しアプローチします。

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏に使われる代表的な漢方薬

• 荊防敗毒散

副鼻腔炎・蓄膿症・後鼻漏の症状に、私が最も頻用する方剤です。この方剤については下記リンクで詳しく解説しておりますので、よろしければご覧ください。

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