【漢方専門の薬剤師が解説】熱中症&夏バテ対策②
漢方専門の薬剤師が熱中症&夏バテ対策についてお話します。
【漢方専門の薬剤師が解説】夏バテってなぜ起こるの?
「夏バテ」は体が疲れる前に、ある臓器が疲労することで発生します。
夏バテは「胃腸の疲労」によって起こります。
夏バテが起こった時、それを迅速に回復させる方法は「冷たい点滴」です。血管内に直接水分と栄養とを入れ込むことで、倦怠感や脱力感はこれで回復します。つまり、血液中の水分や栄養が失われている状態が「夏バテ」ということです。
夏に汗をかいたり、暑い中体を使ったりする。それによって血液中の栄養が失われて、栄養不足の状態に陥る現象が「夏バテ」の本態です。
食べたものを消化吸収する力こそが、夏バテを予防する
血液中の栄養の補給は食事から行われ、食べたものが「血」に転化されます。つまり食べたものを消化吸収する力こそが、夏バテを予防するための本質的な力になるのです。
したがって、もともと胃腸の弱い方は夏バテが起こりやすくなりますし、反対にたとえ胃腸の強い方であっても、食事の不摂生を続ければ夏バテを起こします。
自分の胃腸を如何に疲労させないようにするか、それこそが夏バテ予防の重要なポイントになります。
正しい水分補給の方法
水をたくさん飲んだ方が良いと聞きました。だから毎日しっかり水を飲むようにしています。
夏になるとこういったお声をよく耳にします。これは半分正解で半分間違いです。
人間には元来、水分をどの程度取り入れるかを把握するための感知器があります。それは「喉の渇き」です。喉が渇くという感知器を信用して水を飲む、というのが正しい水分補給の方法です。
記録的な猛暑が続く昨今、草むしりや屋外スポーツで大量に汗を掻くことが予想される場合、前もっての水分摂取はもちろん問題ありません。ただし、喉か渇いてないのにクーラーの効いた部屋で水分を多量摂取するのは間違いです。
過量の水分摂取は「夏バテしやすい身体」の土台を作る
喉が渇いていないのに許容範囲を超えた水分摂取を続けると、胃もたれや下痢を起こしやすくなり、どんどん胃腸が弱って「夏バテしやすい身体」の土台が出来上がります。
人によって、適切な水分量は決まっています。夏バテしないように気を付けて頂きたいことは、「水分の過剰摂取は控える」ということです。また、お水はガブガブ飲んではいけません、ちびちび少しずつ飲むのがベストです。
夏バテ予防に「温かい白湯を飲む」
胃腸が冷えると、体のシステム上、体表面に熱を持ちやすくなります。これはどういうことかというと、胃腸が冷えた状態になりその筋肉活動が弱まると、体の中心である胃腸に血液を引き込めなくなります。そうなると、体の外側で血行障害が起こります。
夏は外気が熱いので、外側の血行が停滞すると、そこに熱が蓄積していきます。
中は冷たいのに外は熱い状態
外が熱いので、身体を冷まそうと汗がどんどん出るようになります。しかし外側が熱くなりやすいため、汗をかいても熱が冷めません。
そのため汗が出やすく止まりにくくなります。胃腸が冷えると、汗をかきやすくなってしまうというこのような状態が起こります。
汗の目的は体温調節です。したがって目的を果たすまでは、体に必要な水でさえ出し続け、栄養がどんどん失われていくわけです。こうやって夏バテが加速していくとうわけです。
夏になれば冷たい飲食物がどうしても増えていきます。だからこそ、お勧めしたいのが「温かい白湯を飲む」ことです。朝起きた時、寝る前になど、温かい白湯を飲む習慣を作ってみてください。
暖かい刺激でお腹が温まると、不思議と止まりにくかった汗が引きやすくなります。中国では、こういう習慣が今もあるそうです。
夏に頻用する漢方薬「牛黄」
ここで夏に頻用する漢方薬を紹介しておきます。
牛黄という生薬は、夏場の疲労倦怠感などによく使用しています。
特に夏場は心臓に負担がかかりやすく、牛黄をお守代わりに携帯しておくと良いです。私の息子が週末サッカーをしているので、何かあった時のために、いつも牛黄をポケットに忍ばせています。
夏に牛黄は必需品
手軽に服用することで非常に良い効果を発揮する生薬でもありますので、疲労感、動悸、不眠、精神不安、風邪の初期症状などに1カプセル服用するだけでこれらの症状がさっぱりと取れるということがあります。
夏場の熱中症予防、また夏バテの症状が出現した時に、これほど頼りになる薬はありません。
牛黄の詳しい解説こちら
夏バテの原因と対策 まとめ
- 夏バテは「胃腸の疲労」によって起こる
- 水分摂取は「喉の渇き」をアテにする
- 「温かい白湯を飲む」習慣をつける
- 熱中症の症状が出た時は「牛黄」を使う
胃腸をもう一人の自分だと思って労わり、夏を快適に乗り切りましょう!!
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