喘息の改善に漢方がおすすめな理由【治療・体質改善法についても解説】

秋口や冬場、梅雨時期に喘息の症状が悪化することってありませんか?

どうして喘息が梅雨時期に悪化するのか。どうすればこの苦しい症状を楽にできるのか。そういった疑問にお答えしていこうと思います。

自慢になりませんが、僕は子供の頃ひどい喘息持ちだったんですよ。いつも服の袖は鼻水まみれで、横になったらヒューヒューゼーゼーと喘鳴が酷くて眠れないような状態でした。

そんな僕でしたが、今ではもう喘息の症状はほとんどありません。

目次

喘息を治すにはその原因を知る

喘息を治すにはまず、どの薬を使うのかよりもその病気の原因を知っておくことの方が大切です。喘息の症状をお持ちの方に「身体の中の余分な水」がある。

これを漢方用語で「痰飲」というのですが、この病理産物が気管支に張り出してくることが原因として考えられます。

つまり、この「痰飲」という余分な水を体外に追い出せばよい。

ここをしっかり頭に入れた上で、肺や胃を温める漢方薬を使う、または身体に合った体質改善の養生法を実践すると、症状が緩和されてきます。

実際にこの方法で漢方薬を処方して何名か喘息の症状が良くなっています。
喘息を漢方的にもう少し詳しく解釈してみましょう。

喘息の原因のなりうる水の偏在

内容をもう少し掘り下げていきます。さきほどもお伝えしたように、喘息の症状がある方は肺や胃に「水」がある。

つまりこれはどうゆうことかと言いますと、胃弱であると水分がうまく代謝されずに胃の中に残ります。

漢方では 「脾虚は生痰の源」「肺は貯痰の器」という言葉があり、体の中の余分な水分はやがて病理産物である痰飲(代謝できなくなった古いお水)に変わる。

そしてそれは冷えやアレルゲンなどの外的な要因が加わって、その痰飲が胃腸→肺から気管支に張りだしてくることにより、ゼーゼー、ヒューヒュー、ゼロゼロといった喘鳴や喘息の症状が出始めます。

つまり、痰飲が水に引っ張られて気管支に張りだしてくる。 朝晩の冷え込み、低気圧の接近、どんよりした天気が続いたりする梅雨の時期に症状があらわれやすいのが特徴です。水が水を呼ぶともいうことです。

ここまでが喘息を漢方的に解釈した実態です。

喘息の漢方治療について解説

喘息の漢方治療について解説
ここからは実際に行う漢方薬を使った治療法についてみていきます。

先程「肺は貯痰の器」というお話をしました。肺は外からの影響を最も受けやすい臓器であり、いわば痰飲の受け皿です。痰飲が肺に貯まっていると外からの寒冷刺激で咳などの症状が現れます。さてどうすればいいか?

「痰飲を病むもの、温薬を以って和すべし」

肺に溜まっている痰飲を取り除くには温めることが鉄則になります。そこで肺を温める為に使用する代表的な漢方薬は

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

金匱要略の小青竜湯の条文にこう書かれています。

「咳逆倚息、不得臥」
=咳が出て寄りかかって呼吸をし、横になることが出来ない

この状態で寝ようとして横になることで痰が絡まり、ゼロゼロと喘鳴を起こし始め、苦しくて眠れません。そのため起坐呼吸をすると楽になります。

喘息を経験している方はお分かりになるではないかと。僕も経験していますが、喘息で一番つらいのはコレです。こういった人には肺を温め痰飲を捌く小青竜湯が有効だよってことですね。

小青竜湯の生薬構成:半夏・麻黄・芍薬・桂枝・細辛・乾姜・甘草・五味子

肺を温める薬物がこの方剤に集約されています。

この薬は温性の薬物が中心に構成されています。エキス剤でも必ず温めて服用して下さい。効果がぜんぜん違います。

喘息の原因になる水は胃腸から発生する

「脾虚は生痰の源」

そもそもの痰飲(代謝できない古くなったお水)の生成は胃腸の弱りが原因です。胃腸の機能が弱いとに痰飲が溜まりやすく、それが肺に移動することで喘息などの症状につながると考えられます。

その為、胃の働きを整え痰飲を除く漢方薬が有効です。そして喘息の体質改善に選ばれる有効な代表的な漢方薬は

「六君子湯」りっくんしとう:半夏・茯苓・人参・朮・陳皮・大棗・甘草・乾生姜
「苓桂朮甘湯」りょうけいじゅつかんとう:茯苓・桂枝・朮・甘草

の2つです。どちらの漢方薬も胃腸の水の流れを正常化させます。合っていればわりと飲みやすく、小さなお子様にもおすすめです。なんといっても安全に使いやすいです。

ただ、漢方薬はその人それぞれによって使い方が異なります。ここでは代表的な漢方薬を紹介しましたが、実はまだ他にも薬方の種類があります。

実際の治療は漢方を専門とする医療機関、または当薬局をお尋ね下さい。

喘息を治す為の体質改善

喘息を治す為の体質改善
ここから自宅でできる喘息体質を改善する方法をみていきます。

喘息の改善に必要な睡眠時間

まずは睡眠時間。とても重要です。最低でも7時間は眠りましょう。女性は特にです。女性にとって必要な「血」は夜間に生成されます。

そして睡眠の質を上げるためにも夜は「入浴」をして発汗してみて下さい。最近では入浴をシャワーだけですませる家庭が増えてきています。

入浴することで発汗を促し、体の中の熱を外に逃がすことで身体の温度が適正になり、睡眠の質が上がります。発汗することにより身体の中の古くなったお水を外に出す手助けをしてくれます。

喘息に負けない心身をつくる

心を鍛えるということも喘息の症状の改善に役立ちます。先ほど入浴のお話をしましたが、入浴後に水を被ると肺や皮膚が鍛えられ、風邪を引きにくくなります。

かえって喘息の症状が悪化するとも言われていますが、僕は水泳や水被りは肺を鍛える有効な手段だと思います。しかも肺だけでなく心も鍛えられます。

アレルギー体質で甘えん坊な性格のお子さんをよく見かけます。甘いものが好きで、夜更かし気味で朝起きれない。子供の頃の僕はそうでした。

ある程度心身に負荷をかけ、それを乗り越える経験をする。喘息体質を変えるには、こうした姿勢が必要です。

実際、喘息体質だったうちの娘が保育園で薄着で走りまわっていたら症状が出にくくなり、僕自身も野球やマラソンのおかげで喘息の症状は出なくなりました。

喘息を治すためにトキメキとハングリー精神を持つ

喘息を治すためにトキメキとハングリー精神を持つ
僕は今、漢方相談と家族と過ごす日々が何よりの生きがいとなっています。

漢方で患者さんを治す為には一生勉強していかなければならないですし、愛する子供たちと過ごす時間を捻出しなければないけません。

昔みたいに朝が苦手とか言ってられなくなりました。「も〜起きるしかねー!』って叫びながらベッドから起き上がり、寝てる娘と息子をなんとか起こしてご飯食べさせて30分のランニングから朝が始まります。

嫌でも目が覚めます。

ちょっと話がそれましたが、ときめきやハングリー精神をもって前向きに毎日を過ごしていると心も身体も健康でいられるということを言いたいのであります。

交感神経が刺激され、喘息やアレルギーの症状も出にくくなります。多少の忙しさはなんとか乗り越えていかないとね。それでは最後にもう一つ。

喘息を治す為に夏こそ冷たいものを摂りすぎないように!

喘息を治す為に夏こそ冷たいものを摂りすぎないように!
夏はかき氷、アイスコーヒー、スイカ、そうめんetc・・・これらの食べ物が摂りたくなる季節です。昨今のこの暑さでは仕方ないでしょう。

あの熱い日のかき氷の美味しさったらもうたまらんですよね。しかし、しかしです。秋になり冷え込んでくると咳やくしゃみ、鼻水が止まらないという方は多いのではないでしょうか。

冷たい食べ物を摂りすぎていると胃腸が弱り水分をうまく代謝できなくなることで肺胃に痰飲が溜まり、秋口に喘息の症状が悪化してしまうような状態が整ってしまいます。

原因は夏の冷飲食の摂りすぎです。果物は陰性食で身体を冷やし、甘いお菓子は身体の中に湿気を呼び込みます。冷飲食を温飲食に変えるだけで症状が楽になる方もおられます。

みなさん夏場こそ温かいものを摂りましょう!夏は逆に冷えや喘息を治すチャンスなのです!

今回の記事について内容をまとめます

  • 喘息の原因は身体の中にある「痰飲」(古くなったお水)が原因にある
  • 治療には肺や胃を温める漢方薬を服用する
  • トキメキとハングリー精神をもって生きていく
  • 喘息の体質を変えていくためには冷たいものを取りすぎない

以上になります。

これらのことを駆使すれば、きっと喘息の症状を軽くできるのではないかと思います。僕はひどい喘息体質だったので・・・あの頃のつらかった気持ちは忘れられません。

漢方で喘息にお悩みの方を一人でも多く助けられますように。

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