【柴胡(さいこ)】漢方薬に含まれる生薬の効能【生薬解説】
目次
【柴胡(さいこ)】漢方薬に含まれる生薬の効能【生薬解説】
ポイント
半表半裏の臓器に薬物を向かわせる働きがある。半表半裏とは、外界と直接繋がってはいないが、外界に近い場所。
1.肝臓および胆嚢
2.卵巣
3.肺〜気管
4.中耳
5.鼻腔
2.卵巣
3.肺〜気管
4.中耳
5.鼻腔
陽気を引き上げ(升提作用)、気を巡らせ(疏泄作用)、うつ熱を去る(清熱作用)。筋肉の緊張を緩める・筋肉の緊張、収縮力を強くする。このような2つの相反する作用を合わせもつ。
柴胡は胸脇苦満を主治する。胸脇苦満して寒熱往来、腹中痛、脇下痞鞕、嘔吐、小便不利を治す。
胸脇苦満の証無き者には、即ち之を用いて効なし。
引用元:薬徴・吉益東洞著
注意点
昇散の性質が強く、陰や気を消耗しやすい。そのため、気虚や陰虚、陰虚火旺、肝陽上亢、気逆証には禁忌。
適時滋陰補血薬や柔肝薬(白芍、当帰など)の配合が必要。退熱には多量、疏泄や升陽には少量を使用する。
柴胡の漢方的効能
消炎解熱
:気を巡らせ(疏泄作用)、うつ熱を去る(清熱作用)。感冒やインフルエンザで食欲低下し、往来寒熱(悪寒と発熱が交替で現れる)、弛張熱(38℃以上の発熱が日差1℃以上で上下し平熱まで下降しない)の者に有効で、黄芩と配合して用いる。(柴胡桂枝湯、小柴胡湯)疏肝解鬱
:気滞を除く。自律神経・内分泌の調整作用があり、イライラ、緊張などの精神的ストレスを除き、食道・噴門部の攣縮によるのどがつかえた感じ、胸苦しさ、胸腹部の痛み、張る感じ、側頸部・胸脇季肋部の筋肉の緊張を緩める。(逍遙散、四逆散、柴胡加竜骨牡蛎湯)昇提作用
:筋緊張増強作用。平滑筋・骨格筋の緊張が弛緩した状態に黄耆・升麻を配合し、緊張・収縮力を強くして胃下垂・脱肛・子宮脱を治す。弛緩した肛門括約筋・膀胱括約筋の緊張なども回復する。(補中益気湯、乙字湯)
分類 | 辛涼解表薬 |
基源 | セリ科ミシマサイコの根 |
薬性 | 微寒性 |
用法 | 2g~8g |
注意点 | 昇散の性質が強く、陰や気を消耗しやすい。そのため、気虚や陰虚、陰虚火旺、肝陽上亢、気逆証には禁忌 |
柴胡が含まれる漢方処方薬
黄連解毒湯、三黄瀉心湯、半夏瀉心湯、黄芩湯、葛根黄芩黄連湯、小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、五淋散、清心蓮子飲、甘露消毒飲、清肺湯、柴陥湯など。
引用参考文献