月経前症候群(月経前緊張症・PMS)に効果的!薬剤師がおすすめする漢方薬5選

月経前症候群(月経前緊張症・PMS)に効果的!薬剤師がおすすめする漢方薬5選

月経前に落ち込みやすかったり、イライラしやすくなります…。

このようなお悩みを漢方で解決します。

月経前症候群(PMS)は、多くの女性が経験する辛い症状です。

月経前にイライラしやすくなったり、落ち込みやすくなったり、また微熱が出たりなどの症状があらわれます。

そんな月経前症候群(PMS)の緩和に効果的として、漢方薬が注目されています。この記事では、漢方専門の薬剤師の視点で、おすすめな漢方薬を5つ紹介します。

記事を読めば、症状緩和が期待できるので、ぜひ参考にしてください。

これまで多くの患者様にご案内している実績があるので、ご安心ください。

結論:PMSにおすすめな漢方薬
  • 当帰建中湯 《金匱要略》
  • 逍遙散 《太平恵民和剤局方》
  • 抑肝散 《保嬰撮要》
  • 大柴胡湯 《傷寒論・金匱要略》
  • 苓桂朮甘湯 《傷寒論・金匱要略》
目次

月経前症候群(月経前緊張症・PMS)とは?

月経前症候群(月経前緊張症・PMS)とは?

【前提】月経前症候群(PMS)とは?

月経前症候群の原因は完全には明らかではありませんが、主要な要因は、体内のホルモンの変化と関連しています。

これらのホルモンには、卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンなどの性ホルモンと、下垂体から分泌される脳下垂体前葉ホルモンが含まれます。これらのホルモンは、月経周期の中でさまざまな段階で変化します。

月経前症候群の症状は、卵巣から分泌されるホルモンのバランスが崩れることによって引き起こされることが多いと考えられています。一般的に、ホルモンの変化により、体内で炎症反応や神経系の興奮が発生するとされています。

具体的には、エストロゲン濃度の低下、プロゲステロン濃度の変動、脳下垂体前葉ホルモンの変化が、月経前症候群の原因となることがあります。

月経前症候群(PMS)の症状

月経前症候群(PMS)は、女性が月経周期の最後の約2週間に経験する身体的、精神的、感情的な症状のことを指します。月経前の精神症状が特に重いものを月経前不快気分障害(PMDD)といいます。

PMSの症状や特徴は以下のとおりです。

1. 精神面の症状

– イライラや不安感

– うつ病的な症状

– 感情の起伏や落ち込み

2. 身体面の症状

– 頭痛やめまい

– 乳房の腫れや痛み

– 体のむくみ

– 下腹部の痛みや腹部の膨満感

– 便秘や下痢、吐き気などの消化器症状

これらの症状は、生理前2週間から生理が始まるまでの期間に現れ、生理が始まった後に消失することが多いです。ただし、重度で日常生活に支障が出る場合には、医療機関で相談することが必要です。

月経前症候群(PMS)の原因

  • 女性ホルモンの影響

月経には女性ホルモンが大きく影響し、周期的に変動しています。女性ホルモンは、大きく分けると2つの種類があります。

  • エストロゲン(卵胞ホルモン)
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)

エストロゲンは卵子を成長させるためのホルモンです。

月経の出血終了直後~排卵(月経開始14日前後)までに分泌量が上昇し、排卵後は急速に減少します。それに対し、黄体ホルモンのプロゲステロンは排卵後に分泌量が上昇し、月経がはじまると急激に下がります。

月経前症候群(PMS)の症状は、黄体ホルモンのプロゲステロンの分泌が増える排卵後~月経開始前にかけておこるため、プロゲステロンの作用が心身に様々な影響をおよぼすと考えられています。

漢方医学的な視点で考える月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)の治療に、今や多くの医療機関で漢方治療が行われております。

月経は女性が出産を行うためのメカニズムです。そして出産には充実したエネルギー、多くの「血」を必要とします。子宮に血を集めていくタイミングで、人体は一種の興奮状態を発生させます。これが月経前です。

しかし、月経が起こり子宮に全身から血が集まってゆく過程で「子宮にスムーズに血が移行できない」状態が起こることがあります。

すると、興奮状態のスイッチが切れない状態が持続し、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)による症状が出現します。

自宅でできるPMSの4つの改善方法

自宅でできるPMSの4つの改善方法

生活習慣の改善

「朝食を食べない」「ストレスで過食に走る」「運動不足」といった生活習慣は、PMSの発症に影響を及ぼしやすいと言われております。

生活リズムを整え、しっかりと休息をとることが大切です。

また、睡眠時間は子宮に十分な血を作るのに必要不可欠な要素となっています。7.5時間はぐっすり眠る習慣を心掛けましょう。

ストレスコントロール

女性ホルモンのバランスには、ストレスが大きくかかわります。ストレスによって生理が止まってしまったり、痛みが増したりということもめずらしくはないように、ストレスと月経は深い関連性があります。

女性ホルモンの分泌は脳の視床下部から下垂体を通して卵巣へと指令が伝わり、その分泌が調整されています。脳が月経をコントロールしているため、ストレスによってホルモンバランスが影響を受けやすいのです。

また、自律神経も同じ視床下部が中枢になっているため、ストレスはホルモンバランス・自律神経のバランスの両方を乱し、心身に様々な不調が現れるようになります。

私は「誰かに話しを聞いてもらい共感してもらうこと」がストレスコントロールを行うにあたり、最も大切だと思っています。

人に話して自身の辛いと思う気持ちを話して共感してもらうというこうとは、何よりのストレス解消に繋がります。

旅行に行くのも、友人とランチに行くのもよし。ストレスはお肌にも良くないですし、どんな形でも良いのでとにかくストレス発散を心掛けて下さい。

タンパク源(お肉)を摂る

子宮に血を作る為に必要な要素はタンパク源(お肉)です。

中国での薬膳料理に「参鶏湯(サムゲタン)」があるように、地鶏や鶏肉はほうれん草の5倍もヘム鉄が含まれると言われており、お肉の摂取はとってもおすすめです。

月経前症候群(PMS)の治療方法

月経前症候群(PMS)の治療方法

西洋医学的治療「抗うつ剤・抗不安薬の使用」

月経前症候群(PMS)で抑うつ、情緒不安定、イライラ、不安、緊張などの症状が強い方には、セロトニンを増やすSSRIという抗うつ剤や、GABAを増やす抗不安薬が辛い症状の緩和に有用と考えられています。

副作用をしっかりと確認しながら少量から調整をし、症状が落ち着いてきたら徐々に減薬していきます。

漢方治療「子宮にスムーズに血を送る」

結論、漢方治療では「子宮にスムーズに血を送る」状態を作ります。

その状態を作ることで、月経前の興奮状態のスイッチを切りやすくし、月経前症候群(PMS)の症状の緩和を図ります。

「子宮にスムーズに血が移行できない」状態を、漢方では疏泄失調といいます。

疏泄失調を起こす要因は、人によって様々です。

例えば、冷え症で月経痛が強い方などは、血行循環の悪さのために「子宮にスムーズに血が移行できない」状態が容易に作られやすい状態ともいえます。その場合は「血」を増やし子宮を温める漢方薬が必要になります。

子宮は下大静脈・腹部大動脈を通じて他臓器と繋がっています。

つまり、胃腸と子宮は血管を通して繋がっており、胃腸の働きが十分でない場合もPMSが起こる可能性があります。この場合にも、胃腸の働きを十分に整える漢方治療を行います。

月経前症候群(PMS)の治療を行うと便秘や下痢などの症状が改善され、消化機能の働きが整う方が多いです。

1人1人のお身体の状態を詳しく伺い、

なぜ「子宮にスムーズに血が移行できない」状態が起こっているのか、その原因を見極めることが大切です。

月経前症候群(PMS)におすすめな漢方薬5選

当帰建中湯 《金匱要略》

当帰・桂皮・生姜・大棗・芍薬・甘草

婦人が出産後に、痩せて衰弱し腹痛が止まない状態を改善する為に造られた薬方です。桂枝湯という漢方薬がベースとなり、「虚労」といわれる疲れやすく体力がないような方を使用目標となります。

栄養価が高く、子宮に綺麗な血を作る「当帰」という薬草を桂枝湯で薄めており、胃腸が弱い方にも使いやすい方剤です。子宮に血を作る為に必要なエネルギーが全身的に足りていない、そんな方に有効です。

逍遙散 《太平恵民和剤局方》

当帰・茯苓・芍薬・柴胡・甘草・生姜・薄荷

血が不足し過労によって、手足や顔が火照ってしまうような女性を治す為に作られた方剤です。当帰を胃薬で薄めるような形で作られている本方は、上記の当帰建中湯に近い構成の漢方薬です。

当帰建中湯との大きな違いは「柴胡」という生薬の有無にあり、逍遙散適応者は柴胡が合うか否かが肝となります。柴胡が合う方は不安感よりもイライラが強く怒気があり、雰囲気に鋭さがあります。

抑肝散 《保嬰撮要》

当帰・釣藤鈎・川芎・白朮・茯苓・柴胡・甘草

抑肝散の処方構成は上記の逍遙散にソックリです。逍遙散から芍薬と薄荷を抜いて、香りの強い川芎を加え、頭部の熱を除く釣藤鈎を加えているのが本方の特徴です。

和田東郭という江戸時代の漢方医は、本方に芍薬を加えて運用していました。こうなると殆ど逍遙散ですね。抑肝散は川芎や釣藤鈎が加わることで効能が強まる為、PMSに対してより適応を強めた処方であるといえます。

逍遙散で症状が改善しない場合、次の一手として考える薬方です。平成の名医と言われている山本巌先生は、不眠に釣藤鈎を多様していたようです。

大柴胡湯 《傷寒論・金匱要略》

柴胡・芍薬・枳実・黄芩・半夏・生姜・大黄

もともとは傷寒(冬場の感染症)にかかって数日後、吐き気が止まず、心窩部がひきつり脹って苦しい、鬱鬱と悶えるような人を治すために作られた薬方です。

PMSへの使用イメージですが、逍遙散や抑肝散適応者よりも顔つきや緊張感、胃部付近の「詰まり具合の硬さが強い」ような方に適していると考えています。

この薬方の核は胃薬です。逍遙散や抑肝散で手強いと感じた場合、次の一手として考える薬方です。

苓桂朮甘湯 《傷寒論・金匱要略》

桂枝・甘草・茯苓・白朮

桂枝甘草湯という薬対を内包する本方は「フクロウ型」と呼ばれる体質に適応します。朝起きられない、貧血を起こしやすい、低血圧傾向、長湯が苦手でのぼせやすい等、頭部に血行不良を起こしやすい方を目標にして運用します。

PMSに対しては当帰芍薬散や逍遙散と合わせて使用する場合があり、高温期の立ち上がりが弱い方に起こりやすい「不安感、落ち込みやすい」等の症状がある方に有効です。

あなたの月経前症候群(PMS)改善に最適な漢方薬を選定させていただきます!

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漢方は症状や病気だけを見ず、全身の状態を見つめて治療方針を決定します。

月経前症候群(PMS)改善に漢方をおすすめする理由は、根本原因を解決する為の治療を行うことができるからです。

月経前症候群(PMS)でお悩みの方、どうかお1人で抱え込まず、ご相談ください。きっとお力になれることがあると思います。

漢方薬は近年、ネットで簡単に手に入るようになりましたが、的確な処方をするためには専門的な知識、病態の見立てが必要です。

重要なのは、病態を東洋医学的にどう捉えるかです。

  1. 病因(なぜそうなったか)
  2. 病機(どこの機能が低下しているか)
  3. 治則(どうやって治せば良いか)
  4. 方剤(薬草をどのように使えば良いか)

「漢方のハセガワ薬局」へご相談いただければ、あなたに最適な漢方薬をご提案いたします。症状にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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