【桂枝(けいし)・桂皮(けいひ)】漢方薬に含まれる生薬の効能【生薬解説】
目次
【桂枝(けいし)・桂皮(けいひ)】漢方薬に含まれる生薬の効能【生薬解説】
ポイント
表裏の陽気を温め、表邪を除き、気血を巡らせる。
桂枝は上方(若い枝)桂皮は幹(厚い部分)の樹皮。桂皮は肉桂とも呼ばれる。
桂枝・・・解表薬
桂皮・・・温裏薬
桂皮・・・温裏薬
傷寒論に「太陽病、之を下して後、其の気上衝する者は、桂枝湯を与ふべし。方前法を用ふ。若し上衝せざる者は、之を与ふべからず。」とある。
上衝を治す。(桂枝甘草湯、桂枝湯)
上衝・・・陽気の不足で起こる、仮性の興奮(のぼせ)。脳貧血などで、末梢血管が収縮して、皮膚が蒼白になり脈拍がはやくなる。それで心悸が上へ上がってくるような状態。
花粉症の治療に、ポイントはシナモン(桂枝)
【静観堂方考】 「桂枝の功能、辛・甘・熱・芳・純陽にて、中外上下の気液を宣導通行するは勿論なり。純陽発散の功あるが故に邪を逐えども、上品の薬ゆえに陽の身方になりて、補うこと主になるなり」
結局のところスギ花粉症は春(2月初旬~3月)に発症するじゃないですか
立春迎えたのにまだカラダが冬モードのヒトに起こっている気液の流れの悪さなんです
だからシナモン(桂枝)を使って温陽し気液の巡らせてあげるとカラダが目覚めて発症しなくなる
もちろん眠くなることはありませんし、朝飲んでその日の症状が消えるか楽になります
引用元:漢方薬局+C 小岩井慎哉先生
注意点
温性が強く、陰虚証・温熱性の疼痛・出血症には禁忌。妊婦・月経過多症には慎重に用いる。
また頭痛(こめかみ~前額部)や回転性めまいをひき起こすことがある。このような桂皮の血管拡張作用による症状に対して、芍薬の収斂作用、血管収縮、止血作用を利用し、これらの症状を止める(桂枝湯)。苓桂朮甘湯のような芍薬が配合されていない処方は注意が必要。
桂枝・桂皮の漢方的効能
上衝を治す
:陽気不足を補うことで、脳循環改善作用を発揮する。脳循環血量の低下による、後頭部の頭痛、首筋のこり、立ちくらみなどを改善させる。(桂枝甘草湯、桂枝湯)発汗解表
:発汗作用は弱いが、体表部に作用し悪寒発熱・頭痛・鼻閉などに使用される。(桂枝湯、葛根湯)通経散寒・止痛
:経絡を温めて血行促進し、疼痛を緩和する(桂枝加附子湯)。胃腸などが寒冷の刺激で痙攣しておきる疼痛を緩解する。→桂皮(肉桂)を用いる。四肢の冷感に(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)。月経痛や無月経に(温経湯)。
脾胃虚寒の胃痛に(小建中湯)。
血剤とともに用いて、血行をよくして駆瘀血作用を助ける(桂枝茯苓丸)。通陽化気
:陽気を活発にしよく巡らせ(通陽)、さらに痰湿を吸収し除く(化気)。肺胃に陽気が巡らなくなった病態に使用する。肺の寒飲停滞による咳嗽、顔面浮腫、鼻水など(小青竜湯)。胃の水飲停滞によるめまい・動悸・嘔吐に(苓桂朮甘湯)。小便不利、下肢の浮腫等に腎臓の血流をよくして利尿作用を助ける(五苓散)。
分類 | 辛温解表薬、温裏薬 |
基源 | クスノキ科クスの若枝、樹皮 |
薬性 | 温性 |
用法 | 2g~4g |
注意点 | 温性が強く、陰虚証・温熱性の疼痛・出血症には禁忌。妊婦・月経過多症には慎重に用いる |
桂枝・桂皮が含まれる漢方処方薬
桂枝甘草湯、桂枝湯、葛根湯、麻黄湯、桂枝加附子湯、温経湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、建中湯類、桂枝茯苓丸、五苓散、苓桂朮甘湯、十全大補湯、五積散、炙甘草湯、八味丸、交泰丸など。
引用参考文献