不眠症・睡眠障害と漢方

寝つきが悪く、ようやく眠れても途中でまた起きてしまいます。

こういった方のお悩みに向けて記事を書いています。

あきらめないで下さい!

今までこういった症状でお悩みの患者さまに対し、漢方薬をお出ししてきた経験から、漢方で対応することは可能だと思います。

実際に症状が改善した実例はこちら

目次

不眠症・睡眠障害の原因

不眠症・睡眠障害の原因

不眠症・睡眠障害はどんな病気?

不眠症は、十分な睡眠を得られない状態を指します。これは、眠りにつくことが困難であったり、しばしば目を覚ますことがあったり、朝早い時間に目が覚めることがあることを意味します。

  1. 入眠障害…寝つくのに2時間以上かかる
  2. 中途覚醒…寝付いても夜中にすぐ目が覚めて(2回以上)すぐに寝付けない
  3. 熟眠障害…起床時にぐっすり眠った感じが得られずだるさや不快感を感じる
  4. 早朝覚醒…普段よりも2時間以上早く目が覚めてしまう

不眠症の原因は多様であり、心理的、身体的、または環境的なものが含まれます。ストレス、うつ病、不安、飲酒、薬物乱用、疾患、環境条件などが原因となることがあります。

不眠症は、身体的にも精神的にも健康に影響を与える可能性があるため、適切な治療が必要になります。治療には、薬物療法、栄養学的療法、認知行動療法、睡眠習慣改善などがあります。

ただし、不眠症を避けるには、健康的な睡眠習慣を維持することが重要であることが多いです。

不眠症・睡眠障害の西洋医学的治療

西洋医学的な治療では、以下のような方法が用いられます。

  • 睡眠薬の処方:不眠症の治療には、睡眠薬が処方されることがあります。一般的には、短期間の使用が勧められ、常用すべきではありません。
  • 心理療法:認知行動療法は、不眠症の治療に非常に効果的です。認知行動療法は、不眠症に関連する問題を解決するのに役立ちます。
  • 睡眠環境の改善:良好な睡眠環境を整えることも、不眠症の治療に役立ちます。
  • 運動やストレス管理:適度な運動やストレス管理を行うことにより、不眠症の症状を改善することができます。
  • 特定の医療状態の治療:不眠症は、うつ病、不安障害、睡眠時無呼吸症候群など、他の医療状態の症状として現れることがあります。その場合、基礎となる状態を治療することで、不眠症の症状を軽減することができます。

不眠症・睡眠障害と漢方治療

不眠症・睡眠障害と漢方治療

陽の亢盛、「熱」。

私は、この「熱」を不眠の原因として考えております。一体どうゆうことなのか、解説していきます。

不眠症・睡眠障害を漢方的に可視化します

古典にみる不眠
  • 『素問・陰陽離合論』日は陽たり、月は陰たり。
  • 『素問・逆調論』胃和せざれば則ち臥すること安からず。
  • 『霊枢・大惑論』病みて臥するを得ざる者、何の気か然らしむ。衛気陰に入るを得ず、常に陽に留まればなり。陽に留まれば則ち陽気満ち、陽気満つれば則ち陽蹻(経穴名)盛り、陰に入るを得ず、則ち陽気虚す、故に目瞑(もくめい:眼を閉じてまぶしがって開けようとしないこと)ぜす。

太陽は東から上り、夕方西へ沈む。人は朝起きて、日中活動して、食事をして、夜眠る。地球の自転の影響を受ける我々は、この環境の中で生きていけるようにできています。

日中、日が出ている時間は陽気が盛んになり、仕事をしたり学校へ行ったり、身体を動かすといった活動を行います。

逆に夜、月が出ている時は反対に陰気が盛んになり、日中の陽気を沈め陰気を栄える形で睡眠を深めてゆきます。つまり、漢方治療では「陰」と「陽」の調和を図ることを基本としています。

「体を温めるものが陽」…日中
「睡眠を深めて体を回復させるものが陰」…夜間

このバランスが崩れて「陽」が暴走する。これが睡眠障害を引き起こす原因と考えております。

また古典に記載がある通り、胃腸の不調があれば胃腸を治せば不眠が改善できるケースもあります。

不眠・睡眠障害の漢方治療のポイント

まずは、虚実を見極めることが重要になってきます。

実証実熱…目が冴えて眠れない
虚証(虚熱)…疲れて眠れない

邪実(熱)が乗っかっているのなら、除く。陰が不足しているのなら、補う。

陰は陽気をコントロールする、いわゆるラジエーター(冷却水)の役割を担っております。陰が心因性のものや外的ストレス、外気の影響を受けてその機能がうまく働かず、陽気が亢盛となりオーバーヒート状態になる。

こうなると「熱」が増長し興奮のスイッチが入り、睡眠障害が発症します。漢方で考える不眠の治療というのは、この陰陽のバランスをとり陽気をコントロールすることが重要になってきます。

年齢と睡眠時間の関係

金元時代をリードした医師の一人、朱丹渓の言葉を引用します。

小児は陽常に余りあり。陰常に不足す。

乳児・小児期の睡眠時間は長く、陰を増やす為に睡眠が必要です。

老齢になると眠りが浅く、睡眠時間が短くなります。陰陽が虚衰し、回復が困難になる。さらに陰虚になれば虚熱が生じ、不眠になりやすくなってきます。

不眠症・睡眠障害に使用する漢方処方

不眠症・睡眠障害に使用する漢方処方を一部ご紹介します。虚実の別があります。

実証の不眠に用いる方剤
  • 心火亢盛…黄連解毒湯、瀉心湯類
  • 肝火上炎…柴胡剤類
  • 痰熱擾心…温胆湯、竹筎温胆湯
  • 血熱…加味逍遥散、女神散
虚証の不眠に用いる方剤
  • 心脾両虚…帰脾湯、加味帰脾湯
  • 心腎不交…天王補心丹、黄連阿膠湯
  • 気陰両虚…清心蓮子飲
  • 陰陽両虚…桂枝湯類、酸棗仁湯

不眠症にこの漢方薬が効く、というものはありません。必ず虚実、陰陽を見極める必要があります。そのため、漢方薬の選定には漢方専門の医療機関をお尋ねください。

不眠症・睡眠障害と漢方 まとめ

不眠症・睡眠障害と漢方 まとめ

不眠症・睡眠障害の治療を始める前に

日常生活での確認事項があります。

  • PC・スマホを寝る前にみてないか
  • 仕事・プライベートでの悩み事に追われてないか
  • 昼夜逆転の生活をしてないか

当てはまる部分はありますでしょうか。まずは上記内容を確認してみて下さい。

眠れないとついついスマホ見ちゃいませんか?PC・スマホのブルーライトは脳を興奮させます。寝る前の30分~1時間前はPC・スマホを見ないようにして下さい。

昼夜逆転の生活をしている方、外的ストレスを毎日受けているような環境の方。この場合、漢方をお出ししても綱引き状態になり、一時症状が改善されても完治が難しいと思われます。

外的ストレスが原因で不眠症が発症している場合、ご自身をストレス対象から可能な限り遠ざけてみて下さい。これだけでも症状が改善する確率が高まります。

これまでの内容をまとめます

  • 不眠症は陰陽のバランスを考えて治療を行う
  • 不眠症の原因は陽の亢盛、「熱」であることが多い
  • 不眠症の原因から身を遠ざけよう

不眠症でお困りの方、ご相談ください。きっとお力になれることがあると思います。

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