夏バテを防ぐ漢方薬【清暑益気湯】

この記事では、清暑益気湯という漢方薬について解説しています。
暑気を消し、涼しくすることを「清暑」、夏負け・夏やせなどにより生気の衰えた状態を回復させることを「益気」と言っており、この時期にピッタリの漢方処方です。
清暑益気湯はその名の通り、暑さで身体内の熱を除き、胃腸の元気を回復する漢方薬です。
夏バテの原因

6月に入り、梅雨の季節がやってきました。気温が上がり、冷たい飲み物をたくさん飲みたくなります。夏バテの原因になるのはなんといっても「胃腸の弱り」です。
冷たい飲み物を摂り続けていくと、夏バテしやすい土台が出来上がってしまうのです。
こちらの当薬局のコラムにて『夏バテの原因』について詳しく解説しておりますので、よろしければご覧ください。


夏バテを防ぐ漢方薬【清暑益気湯】

人参・白朮・麦門冬・当帰・黄耆・陳皮・五味子・黄柏・甘草
先ほど夏バテには胃腸の機能の弱りがベースにあるということを説明しました。この漢方薬には『麦門冬・人参・陳皮・白朮・五味子』などの胃薬が含まれており、胃の機能を元気にさせることが核の処方構成となっております。
また、『黄柏』という苦味のある生薬で身体内の熱を除きます。そして『当帰・黄耆』で血を増やし、栄養を与える滋潤作用もあります。
汗で失った水液を補い、熱を除き、胃腸を助ける。この時期の夏バテを防ぐ、理想的な漢方薬ともいえるでしょう。
清暑益気湯の創成の歴史
この漢方は、もとと脾胃の虚(胃腸の弱り)に乗じて長夏の湿熱が引き起こす諸症を治療する方剤として作られました(内外傷辨惑論・李東垣著・1247年創成)。
これをもとに、夏季に常服して病を防ぐためによりシンプルな生薬構成で作られたのが、現在の清暑益気湯です(医学六要・張三錫著・1609年創成)。
清暑益気湯の使い方
梅雨~夏の時期に、外で汗を掻いて食欲が落ちて下痢気味。こういった症状に使用できますが、症状がなくても夏季に常用できます。
胃腸をもう一人の自分だと思って労わってみませんか?

暑いときの冷たい飲み物は美味しく感じますよね。でも冷たい飲み物で身体を冷やせるのは一時的です。
特に糖分を含む飲料水は、すぐまた欲しくなり、摂り過ぎると胃腸が弱って、結果として胃の疲れや全身の倦怠感を引き起こし、夏バテしやすくなってしまいます。
胃腸は湿度に弱く、冷たいものは苦手な臓器です。湿度の高い夏場、胃腸は元気がありません。そこへ冷たい飲食が続くとさらに弱っていきます。
そんな時、胃腸をもう一人の自分だと思って労わってみませんか?清暑益気湯も、きっと心強い味方になってくれると思います。
今年はまた一段と暑くなりそうです。早めの熱中症対策を心掛けていきましょう~!