耳鳴りが漢方薬の服用で改善【40歳女性】

耳鳴りが漢方薬の服用で改善【40歳女性】

3か月前から「ゴオーッ」とした低音の耳鳴りが続いています。夜が辛くて、イヤホンをして寝ています。

この記事では、こういった症状でお悩みの方に漢方薬をお出しして、実際に改善できた内容を記載しています。

目次

耳鳴りを漢方薬で改善する

耳鳴りを漢方薬で改善する

相談者は40歳の女性。

以前にも相談にいらしてくれた方。

「ここでなら、なんとかしてくれると思って来ました」

嬉しい。その気持ちは凄く嬉しいけれど、実際の耳鳴りの治療は難しい。

去年の12月(約3-4か月前)に左側の耳鳴りを自覚的に感じるようになり、どんどん大きくなってきた。発症のきっかけはわかからない。

その為イヤホンを左耳にして音楽やラジオを聞きながら眠るようにしている。

これは辛いだろうな・・・

患者さまには小さなお子様がいる。子育てに介護に追われているなか、この症状を発症している。

なんとかしてあげたい。今までの知識、経験を総動員して治療に臨む。

  • 夜間、横になって眠る時に悪化する。つまり感があり、悪天候時増悪する。
  • 午前中も耳鳴りはあるが、日中何かをしているような時は気にならない。毎日栄養剤を飲んで、疲労感が強い。
  • 身体所見として気になったのが、口元と皮膚全体の乾燥感。

この耳鳴りを、漢方的に可視化する

つまり感があり、悪天候時増悪する。そして夜間、横になって眠る時に悪化する。これは「痰飲」の所見。

素体の所見にある口元と皮膚全体の乾燥感。この方には以前、温清飲を出してよく効いた。つまり、この方の病態の大元には「血虚」がある。

ここで大切なのは血虚があるから四物湯、痰飲があるから苓桂朮甘湯、などと短絡的には考えないこと。

この女性の耳鳴りの原因は

痰飲により内耳の蝸牛内で起こったリンパ液氾濫による基底膜(有毛細胞)の圧迫。また中耳の鼓室における耳管の圧迫(耳管狭窄)。だからつまり感があり、こもって響く。

ならびに

陰血不足による、内耳の基底膜枯渇。これらの要因が重なって発生する電気信号異常。

この両方からくるものと仮定した。また、内耳は半表半裏の場所。その為「柴胡」が必要だと考えた。

黒逍遙散をベースとし方剤を作り、勝負をかける。

煎じ薬をまず1週間。耳鳴りのスケール10→4になる。つまり感がほとんど感じられなくなったようだ。

リンパ液氾濫による基底膜(有毛細胞)の圧迫。この部分が解消し改善方向に向かったのだと感じられる。

そして3週間後。同一処方を貫き、耳鳴りの症状はほぼ出なくなり廃薬とした。

今回の症例(耳鳴り)のキモ

今回、従来の弁証論治に囚われていたら結果は違っていたと思う。

以前、新生堂薬局の中野修先生に教えて頂いた「耳鳴りの弁証論治・改」。何度も復習して頭に入れておいたことが幸いした。中野先生には本当に感謝しかない。

また耳の生理、耳鳴りの病理をしっかりとおさえておくことが重要だと再認識できた。

  1. 何故そうなったか(病因)
  2. どこの機能が低下しているか(病機)
  3. どうすれば改善するか(治法)
  4. 薬草をどのように使えば良いか(方剤)

病因・病機を掴むことはとても重要なこと。そして治法・方剤。これらが合致したとき漢方は本来の力を発揮する。

何はともあれ、症状が改善に向かってホッとした。

「おかげさまで、楽になりました。」

患者さまのこの声が、また聞けた。

そしてまた、今日も頑張ろうって思う。

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