【月経前の不眠】漢方薬の服用で改善【43歳女性】
月経前になると眠れなくなります。同時に、胃の不調も顕著になります。
この記事では、こういった症状でお悩みの方に漢方薬をお出しして、実際に改善できた内容を記載しています。
月経前の不眠、胃の不調を漢方薬で改善する
相談者は43歳の女性。
お困りの症状は「月経前の不眠」。詳しく伺うと、不眠と同時に胃の不調もあるとのこと。
他の漢方薬局で「抑肝散加陳皮半夏」を煎じ薬で服用していた。半年ほど服用した後、少しは効いたようにも感じたが症状が繰り返すのは変わらず、改善には至らなかった。
月経前の不眠を、漢方的に可視化する
食欲がないわけではないのに、食事中にお腹が張ったり、突然下痢することがある。そして疲れやすく、バテやすい。
そして自覚的なみぞおち付近の痞え、硬さ。
これらの症状が全て、自分の予想する病態の一連の流れと一致する。
この病態を、漢方では「心下支結」と呼ぶ。
この方の症状の改善に必要なことは、「胃を動かす」。「月経前の不眠」という症状に囚われてはいけない。
必要なのは、「竹節人参」という生薬。そして「柴胡×芍薬」。これらの生薬で、胃~横隔膜付近に起こっている過緊張状態を解く。
柴胡桂枝湯という漢方薬で「月経前に起こる胃の不調」にアプローチする
使う方剤は「柴胡桂枝湯」。
煎じ薬を一週間服用してもらう。すると、排卵期にも自覚的にあった早朝覚醒と胃の不調がほとんど起こらなかったという。
心の中で、密かにガッツポーズ。症状が楽になったという患者様の声が、何よりの励みになる。
柴胡桂枝湯の処方解説はこちら
今回の症例「月経前の不眠」のキモ
後医は名医ということわざがある。
私は、前回抑肝散加陳皮半夏をお出しした漢方の先生の気持ちが分かる。月経前の不眠に胃の不調とくれば、抑肝散加陳皮半夏は選択肢として十分考えられる。
半年間服用しても効かなかった、という治療歴の情報はとてもありがたかった。この情報があったからこそ、症状を速やかに改善に向かわせることができたのだと思う。
「枝葉」ではなく「根幹」をとらえる。
師匠が良く口にする言葉だ。病態の根幹を捉えることができていれば、おのずと症状は改善してゆく。
後発である私は、治療を行う上で大変有利なのである。治療歴をしっかりとお伝えくださった患者さまに感謝しかない。
本当にありがとうございました。
しかしまだまだ気が抜けない。引き続き月経痛も改善し、症状が起こりにくくなるように患者さまの身体を整えていきたい。