漢方薬の服用で寝汗、肩凝り、手首のムズムズ感が改善【59歳女性】

この記事では、こういった症状でお困りの方に漢方薬をお出しして、改善できた内容を記載しています。
漢方薬の服用で肩凝り、足、手首のムズムズ感が改善

●お困りの症状
首付近、足、手首のムズムズ(特に首回り)疲労感、寝汗
●漢方薬を服用後の体調の変化
すすめられた漢方薬を飲んだ2日後ぐらいから、首回り周辺の重みがすうっととれていったようです。私の場合、頭や手足えお何か虫がムズムズ歩いているようで、ムズムズ感も気になりましたが、それも少しずつ減っていきました。またどんな症状か親身に野口さんに聞いて頂けたので安心できました。これからも服用していきたいと思います。
相談者は50代の女性。
先月のお盆過ぎ、自宅で草むしりを1時間した後にパソコンの作業を3時間以上続けて行った。
すると、首肩が異様に凝ったのか、首周りがムズムズするようになった。次第に足首や手首でもムズムズを感じるようになる。
それと同時に疲労感も強まり、やたらと寝汗をかくようになった。
漢方的にこの病態を可視化する
まず、気になったのは「自宅でパソコンの作業を3時間以上続けて行った。」という点。
これで症状が悪化したということは、頭部や肩回りの血行不良が起きたのだと推測できる。
ここでまず第一に漢方家が考えるのは、「水の異常」。
人間の60~70%は水。この水が、同一姿勢が原因で首回りに滞留したのではないだろうか。
首周り、足首や手首が虫が走るようにムズムズ感じる。
これは、漢方の古典でも同じような表現で記載されているのを見たことがある。
金匱要略/痙、湿、暍病の脈証と治[第二]・水気の病の脈証ならびに治[第十四]
防已黄耆湯の条文。その加減方
「下陳寒ある者には細辛三分を加う。服して後、当に虫の皮中を行くが如し。」
防已黄耆湯に細辛を加え、服用後に水が動いた。その際に感じた身体の状態を古人はこのように言い表している。
当に虫の皮中を行くが如し。
つまりこのムズムズの正体は、行き場を失った「水」なのではなかろうか。
- 舌をみると、胖大ではっきりとした歯痕舌。
- お小水は出ている、と本人は言っていたが回数が1日3回~4回と少ない。
- 炎天下の草むしりに、長時間のデスクワーク。
病態は「水の偏重」。おそらく間違いない。
煎じ薬を1週間。これで肩凝り、ムズムズ感などの症状がほぼ消失した。
五苓散一閃。
疲労感と寝汗も同時に消失。尿量も著しく増加し、本人もびっくりしたらしい。自分で薬を出しておいて何だけど、すごい切れ味だな~と感心してしまった。
患者さまはとても喜んで下さった。とても仕事熱心な方で、一日も早く症状が楽になれればと思っていたので、短期間で体調を整えることができて本当によかった。
漢方には身体の水の流れを整える力がある
水の偏在が整ったから、寝汗や疲労感も同時にとれたのだと思う。ここを見誤って補気剤を出していたらアウトだったな…
毎回思うけれど、「水」が絡む病態は本当に多い。尊敬する漢方の先生が「水を制するものは漢方を制す」と言っていたことを思い出した。
水が絡む病の治療は、漢方の基本を試されてると言ってもいい。
結果だけ見ると、スムーズにうまくいったように見える。けど、決して簡単じゃなかった。一歩間違えれば、全く効かない薬を出していたかもしれない。
漢方相談は、毎回が真剣勝負。
安心せず、気を緩めず、ただひたすら患者さまを漢方で整える力を、研磨していきたい。
金匱要略/痙、湿、暍病の脈証と治[第二]・水気の病の脈証ならびに治[第十四]
●防已黄耆湯
風湿、脈浮、身重く、汗出で、悪風の者は防已黄耆湯之を主る。
○喘する者には麻黄半両加う。○胃中和せざる者は芍薬三分を加う。○気上衝の者には桂枝三分を加う。○下陳寒ある者には細辛三分を加う。服して後、当に虫の皮中を行くが如し。腰より下氷の如し。後被上に坐し、又一被を以って腰下にめぐらし、温めて微(すこ)しく汗せしむれば差(い)ゆ。
注解傷寒論/太陽の病脈証并びに治を辨ず 中 第六
●五苓散
【第七一条】太陽病、発汗、大汗出でて後、胃中乾き煩躁して眠ることを得ず、水を飲まんことを得んと欲する者は、少少与へて之を飲ましめ、胃気を和せしむれば則ち愈ゆ。若し脈浮に、小便利せず、微熱し消渇する者は、五苓散之を主る。
首付近、足、手首のムズムズ(特に首回り)が気になって、やたらと疲労感を感じます。ここ最近、寝汗もひどいんです。