不眠症(寝付けない、中途覚醒)を漢方で改善【酸棗仁湯の正証】

不眠(寝付けない、中途覚醒)を漢方で改善【酸棗仁湯の正証】

最近忙しくて、疲弊しきっていました。そしたら、突然眠れなくなってしまって…

この記事ではこういった症状でお困りの方を、漢方で改善できた実例を紹介しています。

目次

不眠症(寝付けない、中途覚醒)を漢方で改善するには

不眠(寝付けない、中途覚醒)を漢方で改善するには

不眠症を漢方で治す。口で言うのは簡単ですが、そう簡単にはいきません。とにかく原因を突き止める必要があります。

今回の相談者さまは、57歳の女性。ご主人と一緒に来て下さいました。

症状の経過

3月下旬から不眠とともに、身体が断続的にカーっと熱くなるホットフラッシュのような症状が出現。2月から3月にかけて仕事も家事もとにかく忙しくて、その矢先に症状が発症したようです。

一言でいえば、とにかく頑張りやさんの女性。仕事も家事も常に全力で、私はそんな女性をとても尊敬しています。

しかし、身体の休養の為に出かけた旅行先でもぐっすり眠れず、夜中に何回も起きて身体がカーッと熱くなるような状態が続くことで食欲も落ちて、ご自身で車の運転を行うのも難儀な状態となってしまったのです。

私は、過去に何度かこういった状態の患者さまに出会ったことがあります。

今回の不眠の病態を漢方的に可視化します

今回の不眠の病態を漢方的に可視化します

疲れて疲れて疲れた先に起こった、オーバーヒート状態。こういった病態を漢方では「虚熱の発生」、そして「血痺虚労(けっぴきょろう)」と呼びます。

「血痺虚労」を漢方で改善する手立てはいくつかあります。

まずは、桂枝湯という薬方。私が最も頻用している処方です。しかし、この処方を患者さまは定期的に服用されており、実際に疲労倦怠感によく効いていたと仰っておられました。

それなのに、不眠とホットフラッシュが出現している。ということは、この異常な興奮状態のスイッチを切ることができる漢方薬が、他に必要です。

不眠(寝付けない、中途覚醒)を漢方で改善【酸棗仁湯の正証】

 金匱要略/血痺虚労病篇
「虚労、虚煩、眠ることを得ざるは、酸棗仁湯之を主る」

血気虚燥、心火たかぶる者(浅田宗白)
不眠にも嗜眠のものにも適応(吉益東洞)

「肝が魂を蔵すれば相火は内にやどる。煩が心に生じ、心火動ずればすなわち相火は之にしたがう。そして内に火あらば擾乱し、魂は帰るところなし。」张秉成・清

心身が疲れ弱って眠れないもの。虚からくる胸中の熱と不安、イライラなど。これがおそらく酸棗仁湯のど真ん中と思います。

こうして古典から紐解いて考えると、酸棗仁湯は的が非常に限定的な薬方ということが分かります。

さて不眠症に対し酸棗仁湯の実際の効果やいかに

お薬をお出しして1週間後、患者さまより連絡がありました。

服用初日からホットフラッごシュが出なくなりました!また、まだ中途覚醒気味ではあるけれど寝つきがよくなり、体調が上を向いています。
主人も鼻詰まりが取れてぐっすり眠れています!

と、とてもうれしいお声を頂きました。因みに付き添いのご主人は、花粉症で鼻詰まりが酷そうだったので、その状態を改善する漢方薬をお出ししておりました。

ちょっとまだ油断はできませんが、まずは症状が改善に向かって何よりです。

人間の身体は正直なもので、オーバーワークであれば身体が悲鳴を上げてくれる。大切なのは、その声を聞き逃さないことです。

身体の状態がおかしいと感じて、すぐ連絡を下さった患者さまに感謝です。

疲労が溜まりに溜まって、その結果興奮のスイッチが切れなくなった。

今回の病態は、ある意味分かりやすいのです。不眠症の原因は人によって様々で、私達漢方家の仕事はその症状の原因を見つけることだと思っています。

不眠症・睡眠障害について詳しい記事はこちら

更年期障害(ホットフラッシュ)について詳しい記事はこちら

酸棗仁湯の詳しい解説はこちら

漢方薬は近年、ネットで簡単に手に入るようになりましたが、的確な処方をするためには専門的な知識、病態の見立てが必要です。

重要なのは、病態を東洋医学的にどう捉えるかです。

  1. 病因(なぜそうなったか)
  2. 病機(どこの機能が低下しているか)
  3. 治則(どうやって治せば良いか)
  4. 方剤(薬草をどのように使えば良いか)

私たち「漢方のハセガワ薬局」へご相談いただければ、あなたに最適な漢方薬をご提案いたします。症状にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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